1. HOME
  2. お知らせ
  3. 最低賃金引き上げと業務改善助成金を活用したコスト増への対策

NEWS

お知らせ

最低賃金引き上げと業務改善助成金を活用したコスト増への対策

1.最低賃金引き上げの影響

先日、中央最低賃金審議会で最低賃金を全国平均で50円に引き上げる答申が提出されました。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024072501111&g=soc

 

数円のズレはありますが、おおむね50円近くが引き上げられます。最低賃金の引き上げは、中小企業にとって大きな影響を及ぼします。人件費の増加は経営を圧迫し、収益性の悪化や雇用調整を余儀なくされる可能性があります。しかし、一方で最低賃金の引き上げは、労働者の生活水準の向上にもつながります。

 

まず、最低賃金引き上げによる中小企業への影響について見ていきましょう。人件費の増加は、中小企業の大きな負担となります。特に人件費が売上高に占める割合が高い小売業や飲食業などでは、深刻な影響が予想されます。人件費の増加分を価格転嫁することも難しく、利益率の低下を招きかねません。

 

 

また、最低賃金アップは中小企業の経営に大きな影響を与えます。人件費の増加に伴い、収支が悪化し、経営の圧迫につながります。具体的には年1000時間程度のパート労働者であっても、5万円ほどの人件費増につながります。人件費の増加分を吸収できない企業は、賃金カットや残業の削減、さらには人員削減などの雇用調整を迫られる可能性があります。

 

 

さらに、最低賃金上昇が中小企業に与える影響は深刻です。人件費の増加は、中小企業の収益性を大きく損なう可能性があります。特に、人件費が売上高に占める割合が高い業種では、深刻な影響が予想されます。価格転嫁が難しい中で、利益率の低下は避けられず、経営の圧迫につながります。

 

そのため、中小企業は最低賃金引き上げへの対策を早期に検討する必要があります。人件費の増加を吸収するための生産性向上や、業務改善、設備投資などの取り組みが重要となります。また、政府の支援策を活用することで、最低賃金引き上げの影響を最小限に抑えることができるでしょう。

 

2.業務改善助成金の活用

それでは最低賃金の引き上げに伴い、中小企業は具体的にとれる対策とはなんでしょうか?

 

それは業務改善助成金です。

 

業務改善助成金とは、生産性向上や業務効率化に取り組む中小企業に対して、国が補助金を支給する制度です。人件費の増加分を吸収するためには、生産性の向上が不可欠となりますが、その取り組みには多額の投資が必要となります。そこで、業務改善助成金を活用することで、中小企業の負担を軽減することができるのです。

 

具体的な応募要件としては、

 

①各都道府県の最低賃金から+50円以内で働いている従業員がいること

②①の従業員について3カ月以上の雇用実績があること

 

③労働保険に加入していること

従業員を雇用していれば、労働保険に加入する義務があります。また、雇用保険で徴収されている雇用保険料が助成金の原資となりますので、加入は必須です。

 

 

④設備投資を伴うこと

単に賃上げするだけでは助成金をもらうことができません。

賃上げに加えて、設備投資を行う必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

具体的な業務改善助成金の活用方法としては、まず生産性向上に資する設備投資や、業務の効率化につながるITツールの導入などが考えられます。例えば、自動化や省力化を実現する生産設備の導入や、業務の可視化やデータ分析を可能にするソフトウェアの導入などが、助成金の対象となります。

また、業務改善補助金を中小企業がどう活用するかも重要です。単に設備投資をするだけでなく、従業員の業務改善提案制度の導入や、ワークフロー改善などの取り組みと組み合わせることで、より効果的な生産性向上が期待できます。

 

このように、業務改善助成金の活用は中小企業にとって大きな支援策となります。人件費の増加に悩む中小企業は、この助成金を積極的に活用し、生産性向上と業務効率化に取り組むことが重要です。

 

 

3.具体的な取り組み内容

以下は当社が実際に支援したケースを紹介します。

 

①ドローンの導入

建設業者A社は、最低賃金の引き上げに伴う人件費の増加に悩んでいましたが、設備投資の資金繰りが厳しく、なかなか前に進めないでいました。そんな中、「業務改善助成金」の制度を知り、早速活用することにした。

 

お話を聞くうちにA社では、現場作業における写真撮影などで外部に空撮を依頼しており、自社で導入することができれば、外注費を削減できることが分かりました。

 

そこで業務改善助成金を活用してドローンの購入費用を賄うことにしました。ドローン本体は150万円、助成金の上限額は110万円でした。A社は満額の110万円の助成を受けることができ、当社への成功報酬を支払っても、85万円の助成金を受けることができました。また、ドローンの導入後、外注費も削減できコスト減につながりました。

 

②厨房機器の購入

飲食店B社は、経営が厳しい状況が続いており、人件費の増加に加え、老朽化した厨房設備の修繕費用も重荷になっていました。そこで、「業務改善助成金」の活用を検討することにしました。

 

B社の店舗では、特に冷蔵庫と調理機器の更新が急務でした。古い冷蔵庫は電気代がかかり過ぎ、しばしば故障して食材の鮮度管理に苦労していました。また、調理機器も老朽化が進み、調理時間の長さが顧客満足度の低下につながっていました。

 

そのため、業務改善助成金を活用し、新型の業務用冷蔵庫を導入することとしました。

申請後、労働局からは、業務用冷蔵庫の更新が従業員の作業効率向上につながるのか?との指摘を受けました。そこで、作業風景の写真を撮影し、従業員の動線を図示することで、生産性向上ができることを示し、助成金の活用が可能となりました。

 

新しい設備の導入により、従業員の作業効率も大幅に上がりました。重労働だった調理作業が楽になり、従業員の満足度も高まりました。人材確保にも好影響があり、離職率の低下にもつながったのです。

 

 

こうした事例から、中小企業の生産性向上策と最低賃金対策は密接に関連しているといえます。生産性の向上は、人件費の増加を吸収する上で不可欠な取り組みです。一方で、最低賃金の引き上げは、企業に生産性の向上を促す効果も期待できます。

 

つまり、最低賃金アップに伴う中小企業の生産性UPは、企業にとって大きな課題であると同時に、好機でもあるのです。生産性の向上に取り組むことで、人件費の増加を吸収し、収益性の改善につなげることができるのです。

 

そのためには、中小企業は生産性向上に向けた具体的な施策を検討し、実行に移す必要があります。設備投資による自動化、ITツールの活用、業務の見直しや効率化など、様々な取り組みが考えられます。また、従業員の意識改革や、業務改善提案制度の導入なども重要です。

 

最低賃金の引き上げは、中小企業にとって大きな課題ですが、同時に生産性向上の好機でもあります。この機会に業務改善助成金を活用してみてはいかがでしょうか?

 

 

※本ホームページに記載されている内容については必ずご自身で内容をご確認してください。本ホームページに記載されている内容、見解について不利益が発生しても当サイトでは一切の責任を負いかねます。

最新記事